柏倉陽介(かしわくらようすけ)
ネイチャーフォトグラファー- 経歴
- 1978年生まれ。東京のカラスが作ったハンガー製の巣を被写体に人間社会と動物の関わりを撮影し、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)にて環境テーマ作品として写真が展示される。また長きに渡り、文明と野生の衝突地帯に生きるオランウータンのリハビリテーション風景の作品発表を続けている。2019年春には北極冒険家・荻田泰永氏と若者たちとの600kmに渡る北極圏遠征に同行。写真や映像撮影を担当し、ナショナルジオグラフィックやNHKなどのメディアに発表している。 主な撮影分野は自然風景、自然と対峙する人間、環境保護など多岐にわたり、米国立スミソニアン自然史博物館、世界大都市気候先導グループ会議などに展示。ドイツ博物館やロンドン自然史博物館発行誌、LensCulture誌ほか国内外のメディアに掲載される。
「Monochrome Photography Awards」ランドスケープ・フォトグラファー・オブザイヤー、Paris Photography Prize「PX3」野生動物部門1位・地球写真部門1位、「LensCulture Earth Awards」単一写真部門2位入賞、「ナショナルジオグラフィック国際フォトコンテスト」自然部門入賞などを受賞歴多数。
<写真を撮るということ>
独学で写真を学び始めたのは、雑誌の編集者をしている頃でした。自然を対象とした取材が多く、日本アルプスを巡ったり南の島にシーカヤックで向かったりと、まるで旅をするような日々。しかし、ただ綺麗な景色を繰り返し巡る取材にも飽き始め、次第に取材現場の横で起きている気候変動に気づいていくようになりました。南米パタゴニアで眺めた眩い星空や風に吹かれるワタスゲ群。一方でそれらと同じ時代に別の地域では森林が減少し、氷河が後退していくと言う現実。その頃、環境保全の取材中にオランウータンの保護施設と偶然出会い、そこに滞在しながら写真を撮ることを決めました。撮影する被写体は風景から動物、人物まで広がり、さまざまな出会いから撮影方法も変化していきました。写真が国連気候変動枠組条約締約国会議や世界大都市気候先導グループ会議などに展示され、国内外で認知されるようになった時期から自然写真の教室を始めました。カメラをシンプルに操作することの大切さ、歳月と共に変わる視点の不思議などを話しながら、参加した方々に世界中の被写体を観て感じてもらうことができる。これが私にとってとても貴重な時間となっています。
●写真展示
米国立スミソニアン自然史博物館(アメリカ)
国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(フランス)
世界大都市気候先導グループ会議(メキシコ)
Ragusa Foto Festival(イタリア)
CLIMATE SMART EVOLUTION for 2019 SCUDERIA ART NIGHT(イタリア)
世界の子どもたちの今を知る写真展&トークショー(ナショナルジオグラフィック新番組『ロスト アンド ファウンド』放送記念イベント~カンボジアの子供たち写真展示~:東京スカイツリータウン) - 講演テーマ
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<演題例1 自然写真の授業 対象例:社会人、団体、企業>
写真を撮る時に大切なことは二つある。まずは「感情を写真に込めること」、そして「風景の中に可能性を探すこと」。明るく写すことで伝わる空気感や暗く写すことで伝わる質感があり、世界は目で見えることがすべてではないことに気づかされる。自分の感動を写真に込めるためにはカメラの操作をシンプルにすることが大切だ。目前の風景を自由に撮れる設定をマスターしよう。また、レンズの特性を活かせなければ、被写体の存在感も薄れたものになる。この授業では、広角、標準、望遠レンズを使うコツを掴みながら、立ち位置をどう工夫するかも学ぶ。
<演題例2 被写体に反応する心を育てる 対象例:全年齢>
ナショナルジオグラフィック国際フォトコンテストを含め、世界の主要な写真賞の数々を受賞してきた柏倉陽介が、これまで撮影してきた写真を使用しながら被写体の見つけ方について語る。 人はなぜ写真を撮りたいと思うのか。どうして上手く撮れないのか。そもそも上手に撮るとはどういうことか。被写体と撮影者の間にある様々な障壁を語り、技術的もしくは意識的な制約をなくすための講義をする。人それぞれの視座を大切にしながら、絶景や観光スポットを巡るだけでは撮ることのできない撮影のヒントを語る。
<演題例3 野生動物のリハビリ 対象例:小学生以上>
マレーシアとインドネシア、ブルネイの国からなるボルネオ島は、かつて豊かな熱帯雨林に覆われていたが、現在は森林伐採や農園開発が進み、島の固有種や絶滅危惧種の生息地である森林が急速に減少している。森林減少と共に、この百年間で約90%のオランウータンが減り、このままのスピードでは今後20年で絶滅するという予想もされている。
オランウータンの赤ん坊が『オランウータン リハビリテーションセンター』に保護された時、すでに母親はいなかった。はぐれてしまったのか、人間に殺されてしまったのか。ここではトラウマを抱えた幼いオランウータン孤児たちが、人間に食事を与えられながら、樹々に張られたロープを渡る練習をしている。サーカスのような曲芸をさせるためではない。それは再び森に帰るための重要な訓練である。野生に生きるべき動物がリハビリを行うという奇妙な光景は現代特有のものだろう。希望を失ったオランウータンの子供達が生きる力を取り戻していく姿は、成長とは何かを人間に問いかける。その様子を写真家として長期取材したネイチャーフォトグラファー柏倉陽介が写真と共に伝える。 - メディア
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●テレビ放送
「People in the Nature ー世界最大の星空保護区・テカポの星空を求めてー」(ディスカバリーチャンネル)
「ファイト! 糸くずのような命の唄」(NHK・BS1)*撮影
●新聞
朝日新聞 産經新聞 神奈川新聞 共同通信配信 Dailymail等多数
他 雑誌、ウェブ媒体、各種媒体多数
公開日:2019年12月12日
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